櫟山螢雪研究所櫟山螢雪研究所
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Letter to Students XIV ウイスキー 低磁場型MRIでは肉類を試料としてDixon法によって水と油脂を 区別してイメージを得ることが容易である（Letter to Students VI）。その一端は、シグナルのT2減衰が緩やかなので、無理なく 水酸基とメチル基に対して同位相および逆位相のTEを設定でき、 近似的な演算が可能な事にある。これはケミカルシフトイメージン グの一手法である。ここでは、通常のケミカルシフトイメージング のシークエンスによってエタノールの測定を行った。それによっ て、Dixon法に現れない静磁場の局所的な不均一性を知ることが できる。 ① MRIによる測定ということで、構造があるウイスキーボンボン を選択した。ウイスキーおよびリキュールの液体部分でメチル 基によるDixon効果（シグナルの減少）が得られると予想した が、不成功であった。 ② ウイスキー、リキュールともに、NMRスペクトルでメチル基の ピークは分離し、また、FIDシグナルは明瞭に振動して減衰 するので回転位相の差異に基づくDixonイメージは得られる はずである。 ③ X軸、Y軸それぞれに位相エンコードをして、PIXELごとのスペ クトルを得る3D測定法で、ケミカルシフトイメージを構築し た。多少、静磁場には局所的な歪みが認められたけど、水 酸基とメチル基を区別してイメージとすることができ、Dixon法 でメチル基を捉えるに充分な静磁場の均一性は確保されて いた。メチレン基は、水酸基のシグナルが部分的に重なり分 離したイメージにはならなかった。 ④ 43%アルコールのウイスキーと、70%エタノールを試料として Dixon効果を明瞭に捉えることができたので、ウイスキーボン ボンで不成功であったのは、アルコール濃度が低すぎた （12%程度）ためであると思われる。 ⑤ オンザロックを模倣して、氷が解けてアルコールがムラムラ に希釈されるところをイメージにしようと試みたが不成功。測 定系と条件の改善が必須。 ⑥ 6ヶ月後に、再び、ウイスキーボンボンのイメージを測定した ところ、大分イメージが変化した。チョコレートを使ったお菓 子は、頂いたから取っておいて後で食べようなんていうの は、ダメかもと思う。 〔研究員〕 |
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